第16章

「山田美香!」小林理沙は不確かに声をかけた。

サングラスをかけた山田美香の顔に一瞬の緊張が走った。

小林理沙は水原花子の手を引いて近づき、険しい表情で言った。

「雑誌の撮影で忙しいって言ってたじゃないの?」小林理沙は高橋佳奈と水原香織を見て続けた。「彼女たちが誰か知ってる?一人は花子ちゃんの宿敵、もう一人は彼女の彼氏を奪い、家産まで奪った偽善者よ」

「誰が偽善者だって?口を慎みなさいよ」

高橋佳奈は一歩前に出て、小林理沙を強く押し返した。

水原花子は小林理沙を支え、立ち直らせた後、嫌悪の目で彼女たちを見渡した。

山田美香に対する失望は隠せなかった。

高橋佳奈は山田美香の腕を組...

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