第173章

「どこが変態なんだよ?」西村達也は彼女の肩の両側に手をつき、眼差しは傲慢そのものだった。

水原花子は咄嗟に彼の薄い唇を手で覆い、頬が火照るのを感じながら、「黙って」と言った。

「へぇ、今さら俺を嫌がるのか?」西村達也は彼女の手を引き剥がし、歯を食いしばって言った。

「水原花子、俺がどれだけ離れてたって言うんだ。たった数日で高橋健一と婚約するなんて、急いでたな。教えてくれよ、今お前が俺と一緒にいることを高橋健一は知ってるのか?」

「西村達也、もういい加減にして……」

水原花子は顔色を失い、先日高橋健一との約束を思い出した。本当に彼に申し訳ないと思った。

彼女の気の抜けた様子に、西村...

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