第174章

西村達也は冷ややかな表情でポケットからキーを取り出し、彼女に放り投げた。

「持っておけ。これからは呼ばれたらすぐに来い」

水原花子の顔は赤くなったり青ざめたりした。

「葉田月見に見られたらどうするの?」

「見られようが何だろうが、どうでもいい。誰だって女の一人や二人いるさ。最悪、西村の奥さんを別の女に変えればいい。賢い女なら、この座に就きたがる者はいくらでもいるんだ」

西村達也が言い終わるか終わらないかのうちに、ドアベルが鳴った。

彼がドアを開けると、竹内健司が袋を持って入ってきた。

「西村さん、ご依頼の服です。あと、9時に会社の会議にご出席いただく予定です」

「ああ」西村達...

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