第43章

水原花子はすぐにスマホを取り出し、その録音を探して再生した。

田村海斗の声が聞こえてくると、水原香織の表情が一瞬変わったが、すぐに冷静さを取り戻し、苦々しい顔で口を開いた。

「誰かが適当に録音したものでしょ。田村海斗だなんて、そんな人知らないわ」

水原花子は水原慎一の方を向き、目に涙を浮かべながら言った。

「お父さん、水原香織は田村海斗の口座に数百万円も振り込んだのよ。調べればすぐわかることよ。彼女は田舎育ちで、あなたに引き取られてからデザインを勉強し始めたばかり。そんな短期間で、こんな素晴らしい作品をデザインできるはずがないわ」

「お父さん、お母さん、本当に何もしていません」水原...

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