第45章

この三日間、会社では彼は毎日氷山のように冷たかった。

退社時間になると、すぐに出て行く。入口で藤本雄太とちょうど出くわした。「また裕太の世話をしに帰るのか?水原花子はまだ戻ってないのか?」

「その女の話はするな」西村達也は冷たい表情のまま前へ歩き続けた。

藤本雄太は仕方なく両手を広げた。「俺も頼まれたからさ、どうしようもないんだ。小林理沙から電話があって、水原花子どうなってるか聞いてくれって。ずっと連絡取れなくて心配してるらしい」

「ずっと水原家にいるんじゃないのか」西村達也は足を止めた。水原花子が自分の電話に出ないのは理解できる、結局二人は知り合って間もないのだから。だが小林理沙と...

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