第49章

西村達也は起き上がった。窓から差し込む月明かりに、彼は床に丸くなった女性の姿をぼんやりと見た。彼女は両手で必死に耳を塞ぎ、体が激しく震えていた。

「水原花子、目を覚ませ。悪夢を見ているんだ」西村達也はベッドから降り、彼女の手を無理やり開いた。

しかし水原花子は完全に悪夢に囚われたままで、恐怖に震え、顔はどんどん血の気を失っていった。

西村達也は仕方なく、思い切って彼女を胸に抱き寄せ、肩を優しくトントンと叩きながら、柔らかな声で慰めた。

「怖くないよ、大丈夫だから……」

男の声が安心剤のように効き、彼女の緊張していた体が徐々に柔らかくなっていった。

彼女の顔が彼の胸に寄り添い、黒髪...

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