第52章

まるで裕太の食欲が増したのも彼女のせいだとでも言うの?

水原花子は怒りで息が詰まりそうだった。「わかったわ。じゃあ今後は少しだけしかあげないことにするわ。それでいいでしょ?」

「それはダメだ」お腹の中の赤ちゃんが飢えてしまったらどうする。

「じゃあどうしろっていうの?ごめんなさいね、私はプロの猫飼いじゃないんだから」水原花子は不機嫌そうに言い返した。

「俺だってプロじゃない。自分で考えてみろよ。もっと気を配ってやれば?外に連れ出して日光浴させたり、散歩させたり。食べては寝て、寝ては食べるだけじゃダメだ」

西村達也はそう言い終えると、裕太を抱えたまま団地内へ歩いていった。

水原花子...

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