第73章

「彼女はそんなことしないさ。彼女の悪知恵は全部俺に使ってるからな」西村達也は冷ややかに鼻を鳴らした。

「……」

まるでイチャイチャするカップルの匂いがプンプンしてくるような気がした。

でも何をアピールしてるんだよ、相手は今全然あんたに構ってないじゃないか。

藤本雄太は心の中で毒づいた後、口を開いた。

「水原家のこれまでのやり方からすると、今日あれだけ恥をかかされたんだから、おとなしくはしていないでしょう。前回は姉さんを閉じ込めて命の危険まであったわけですし、今回も姉さんに何か危険が及ぶかもしれません。誰かに見張らせておいた方がいいんじゃないですか」

西村達也は資料を手に取り続けな...

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