第80章

彼の「仕方ないな」という一言には、甘やかしと諦めが入り混じっていた。

藤本雄太は呆れた顔で「それで彼女はどこだ?食べ終わったら君をここに放り出して行っちまったのか?」

「黙れ」西村達也は彼を睨みつけ、車のドアを開けて乗り込むと目を閉じた。今は痛くて一言も話したくなかった。

藤本雄太は彼の青ざめた横顔を見つめ、こっそり写真を撮って水原花子のLINEに送信した。

【姉さん、西村さんはあなたと鍋を食べるために胃を痛めたんだ。今から病院に連れて行くところだよ。西村さんを責めないで。彼は言わないけど、心の中であなたのことを気にかけているんだから】

「今何を撮った?」西村達也は突然目を開き、彼...

ログインして続きを読む