第5章
三日後、私はようやく新しい施設を出る準備ができた。桜川リカバリーセンターのスタッフは素晴らしかった。プロフェッショナルで、敬意を払ってくれて、そして何より、紗織を一人の人間として大切に扱ってくれた。
父さんが私の荷物をトラックに積み込むのを手伝ってくれた。「本当にあのアパートに戻るのか?」
「私の家でもあるから」胃がキリキリと痛みながらも、私は答えた。「それに、紗織のものをいくつか取ってこないと」
車で二十分ほどの道のりだった。自分の住む建物に車を寄せると、私の駐車スペースに蓮司の車が停まっているのが見えた。賃貸契約に含まれている、私専用の駐車スペースだ。
父さんが眉をひそめ...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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