第6章

その夜は実家で過ごし、隣で安らかに眠る紗織の横で、私は天井をじっと見つめていた。目を閉じるたびに、うちのソファでテレビゲームに興じる蓮司と、娘のベビーウォッシュをシャンプー代わりに使う玲奈の姿が目に浮かんだ。

朝になる頃には、決心がついていた。

「住居トラブル解決サービス」とググってみると、「天峰警備ソリューション」という会社が見つかった。ウェブサイトには「入居者間トラブルの専門的仲介」や「物件の原状回復支援」といった文言が並んでいる。

完璧だ。

電話に出た女性は、いかにも仕事ができるという口調だった。「こちら天峰の紗世です。ご用件をどうぞ」

「アパートから、招かれざる客を...

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