第12章

「はい。ありがとうございます、藤原様。ご期待に添えるよう、しっかり務めます」

西原雨子は淡々とそう答えた。

藤原英世は彼女を見つめたまま、しばらく黙っていたが、やがて口を開く。

「報酬のことなら心配いらない。君に損はさせない」

西原雨子は、ふっと笑った。

別に、自分は藤原の人間になったわけじゃない。

藤原英世が与える「見返り」にしたって、彼女にとって特別な意味があるわけではない。

ただ――何かしていたかった。

余計なことを考えずに済むくらい、忙しくなれる何かを。

「行こう。飯にするぞ。男ひとりのことで、いつまでも落ち込むな」

そう言って、藤原英世は西原雨子の横をすり抜けた...

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