第16章

藤原英世は、皿の上に鎮座する「説明のしようがない」奇妙な混合物を見下ろしていた。

高彩度の寒色は、それだけで食欲を著しく削ぐ。

なかでも青は、数ある色の中でもっとも食欲を抑えると言われている。

ブルーベリージャムと卵チャーハンを混ぜれば、嫌でも連想してしまうのは――カビの青斑、あるいは毒々しい何か。

とにかく「美味しそう」には一ミリも見えない。むしろ脳が警報を鳴らす。

西原雨子は藤原英世が手を付けないのを見て、「この青いチャーハンに怯んだ」と勘違いした。

その瞬間、胸の奥がすうっと軽くなって、愉悦がじわりと広がる。

「藤原様、試してみませんか?」

雨子は分かっている。

藤原...

ログインして続きを読む