第26章

土曜の朝早く。

西原七海はキャリーケースを手に、林原愛と西原雨子に向かって言った。

「お母さん、雨子、行ってくるね」

林原愛は娘の髪を撫で、やさしく微笑む。

「緊張しなくていいのよ。お母さん、あなたならきっと立派にやれるって信じてるわ。西原の名に恥じないよう、しっかり頑張ってらっしゃい」

「うん。頑張る、お母さん」

西原七海は自信ありげに笑った。

玄関先では、西原海人が先に待っていて、急かすように声をかける。

「ほら、行くぞ。遅れたらまずいだろ。道が混むかもしれないしな」

西原雨子は、西原七海が西原海人の車に乗り込むのを黙って見ていた。

西原海人のこの車は、もうかなり年季...

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