第27章

西原雨子は、こっそり隠してある写真を、ときどき引っぱり出して眺めることがあった。

たまに思ってしまうのだ。

今あるすべてが、ただの悪い夢なんじゃないかと。

もしかしたら、ひと眠りして目が覚めて、ドアを開けたら――自分はまだ、お父さんとお母さんにとってたった一人の、いちばん愛される娘のままかもしれない。

写真を見つめたまま、意識が薄く現実から離れかけた、そのときだった。

スマホが二度、短く震えた。

その音に、引き戻される。

西原雨子はフォトフレームを置き、メッセージを確認した。

藤原英世から?

どうして今さら。

彼女が藤原家を離れてから、二人の間に連絡を取る理由なんてなかっ...

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