第29章

西原七海は席に座ったまま、どうにも落ち着かなかった。

気づけば、この場にいる人たちの会話に、自分だけまるで入っていけていない。

専門用語なら少しは分かる。けれど、議論の大半は、聞いてもほとんど理解できなかった。

技術の話になれば、小崎翔が丁寧に噛み砕いて説明する。

協業の細かな条件や注意点については、藤原英世がワート側の人間と詰めていく。

そして自分はというと、ただ脇に置かれた飾りのようなものだった。

――いや、違う。

ロイヤルガーデンレストランに飾られた美しい調度品や珍しい草花に比べたら、自分なんてただのありふれた瓶だ。

花瓶ですらない。

ワートグループの中で、もともと彼...

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