第37章

藤原松人が二つほど咳き込むと、まだ三十そこそこにしか見えない女が慌ててぬるま湯の入ったグラスを手に取り、差し出した。

「お義父さん、お医者さまにお話は控えるようにって言われていますから」

女の名は森下美恵子。藤原英世の父、藤原紋太郎の三番目の妻であり、英世にとっては継母にあたる。

見回せば、森下美恵子のほかにも、二叔父の藤原博人、叔母の清水麗子、そして叔父の藤原涼介まで顔をそろえていた。

祖父が退院したばかりということもあって、今日は家の中がやけに賑やかだ。

藤原涼介は鼻梁の金縁眼鏡を指先で軽く押し上げ、藤原英世へ視線を向けた。声音は穏やかだった。

「父上はあまりお話しできません...

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