第44章

西原雨子は小岡敦が立ち去るのを見届けると、書類を一つ残らずきっちりとまとめた。まるで焼けた火箸でも懐に抱え込んでいるみたいに、ひどく落ち着かない。

再びホールへ戻り、辺りを見回してようやく藤原英世と西原七海の姿を見つけた。

西原七海は少し酒が入っているのか、頬がほんのり赤い。藤原英世のすぐそばに寄り添い、両手で彼の腕にしがみついていた。

その光景を目にした瞬間、西原雨子の胸の奥で、むかっとした感情が一気に膨れ上がる。

あれほど重大で、しかも人目に触れれば厄介極まりない話を、何の前触れもなくいきなり自分に押しつけておいて。

こっちは気が気じゃなかったのに、当の本人はここで西原七海と―...

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