第50章

契約書と関連資料をまとめて鞄に押し込み、西原雨子は二人に向かって言った。

「これから、よろしくお願いします」

小岡敦はぽかんとしたまま西原雨子を見つめた。

「はい、西原さん……あっ、いや、西原様……」

雨子の立場がいきなり変わった衝撃から、まだ抜け出せていないらしい。

鈴原文哉もまた、複雑そうな目で西原雨子を見ていた。

同じ研究室の先輩だと思っていた相手が、どうして急に漢海化工のこれからのオーナーになるのか。

本当なら、あとで食事にでも誘って、研究のことをゆっくり話したいと思っていた。だが、こうなってしまっては、とてもそんなことは口にできない。

西原雨子が個室を出ていくのを見...

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