第61章

西原七海が藤原家へ向かう、その日がすぐにやって来た。

朝早くから七海は起き出し、身支度に追われている。

西原雨子は、廊下のほうから母の林原愛と七海の会話が聞こえてきて、思わず耳を澄ませた。

「七海。付き合ってるっていう彼氏、結局どこの誰なの? なんであなたがそんなに手土産を抱えて、相手の家へ行くのよ。女の子はもっと慎みなさい! 普通は向こうが先に挨拶に来て、私とお父さんに顔を見せるべきでしょう?」

七海はくすっと笑って言った。

「相手の方、立場が立場だから。先にうちに来るっていうのは、ちょっとないと思う。だから私が先に、ご家族にご挨拶するの」

愛は堪えきれずに返す。

「うちの西...

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