第62章

そうなれば、彼女は藤原英世に利用される「盾」みたいな立場になるのだろうが――西原七海は、そのこと自体は気にしていなかった。

役に立つだけ、無価値よりずっとマシ。そうでしょう?

藤原英世が通話を切った直後、西原七海からメッセージが届いた。

「あなたの家に着いたよ。迎えに来て」

英世は小さく息を吐く。

……あの家は、もう住まなくていいな。

ある朝、目を開けたらまた西原七海が当然のように目の前にいる――そんな展開はごめんだ。

それに、ふと思う。西原雨子には自分の「秘密基地」が知られている。なら、これからはそっちへ戻ればいい。

そう考えた途端、藤原英世の口元に、薄い笑みが浮かんだ。

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