第8章

もっとよく見ようと、藤原英世は反射的に目を凝らした。だがその瞬間、西原雨子がかすれた声で、今にも泣き出しそうな調子のまま言った。

「藤原様……これから、どうしましょう。もう商談はまとまりませんよね……?」

藤原英世は、思わず苦笑しかける。

こんな状況で、まだ仕事の心配か。

藤原の取引なのに、なぜ彼女がそこまで気を揉むのか。呆れるような、妙な可笑しさすらあった。

藤原英世は無言で上着を脱ぎ、西原雨子の肩へそっと掛けた。

「大丈夫だ。泣くな」

優しい声音とは言い難い。けれどそのぶっきらぼうな一言に、西原雨子の胸はどくんと跳ねた。

上着を掛けるその動きに紛れて、藤原英世は薄暗い光の...

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