第6章
翌朝、私がオフィスで席に着いた途端、秘書の水上彩乃から内線が入った。
「礼央さん、千堂奏斗が昨夜からずっと電話をかけてきて、あなたに会わせろの一点張りです。ご指示通り東野晶のクリニックで午後三時と伝えましたが、こちらの話を聞いていただけない状況です」
「警備に止めさせて」
「それが、もうエレベーターに乗ってしまったと……」
私立探偵の浅見慎也と最終確認をしていた、まさにその時だった。エレベーターのドアが乱暴に開き、千堂奏斗が怒り狂った獣のようにオフィスへなだれ込んできた。顔を真っ赤に上気させ、スーツは皺だらけ――安宿から直行してきたのは明らかだった。
「結城礼央!」
彼の声...
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