第7章

午後三時きっかり、千堂奏斗はホテルの一二〇五号室のソファに座り、勝ち誇った笑みを顔に貼り付けながらネクタイを直していた。

「結城礼央もすぐに自分の過ちに気づくだろう」

鏡に向かって彼は言った。

「俺がいなければ、あいつは何者でもない。冷徹で心のない女――仕事以外に何の能がある?」

東野晶は、何かがとてつもなくおかしいと感じながら、不安げに東野翔一を抱いていた。

「奏斗さん、やっぱり変です。どうして結城礼央さんが突然、交渉したいなんて……」

「怖いからさ!」

千堂奏斗は勝ち誇ったように笑った。

「俺に家族ができたと知って、嫉妬に狂ってるんだ。女なんてみんなそうさ――見か...

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