第103章

島宮雪乃はわざと声を張り上げた。島宮奈々未に聞こえさせるためだ。

島宮奈々未の前でだけは、絶対に負けを認めるわけにはいかない。

だが、島宮奈々未は島宮雪乃に一瞥もくれず、夏目太郎の手を引いて丹羽光世たちと共にその場を後にした。

駐車場に着くと、川崎正弘は空気を読んで丹羽南の肩に腕を回した。

「俺たちは夜に『軒城河山』の台本の読み合わせがあるから。ボス、ここでお別れですね」

丹羽南は川崎正弘をちらりと見た。いつ台本の読み合わせなどすることになったというのか。

そもそも『軒城河山』のオファーを受けるとさえ言っていないのに。

川崎正弘が目くばせをしてきて、二人は顔を見合わせた。

丹...

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