第184章

島宮徳安の無事が確認できたことだけは、せめてもの救いだった。

今回の誘拐事件は、どちらかといえば悪戯の域を出ないように思える。

その上、衣服を剥ぎ取られるという屈辱的な目に遭った島宮徳安自身が、世間体を気にして警察への通報を渋ったのだ。

島宮邸へ帰ろうとする彼をよそに、島宮奈々未はそのまま南山別荘へ車を走らせた。

南山別荘といえば、帝都で最も名高い高級別荘地である。住人は皆、富と権力を兼ね備えた、文字通り社会のピラミッドの頂点に君臨する者たちばかりだ。

島宮徳安の器では、仮に財力があったとしても、ここに足を踏み入れる資格すらない。

ここの物件は、単に金さえあれば買えるという代物で...

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