第212章

天瀬姫奈は、丹羽光世が何をしようとしているのか悟った瞬間、恐怖に駆られて刃に手を伸ばした。

「だめ!」

素手で掴んだせいで、鋭い刃が掌をざっくり裂く。指の隙間から血がどくどくと溢れ、床へぽた、ぽたと落ちた。

丹羽光世の瞳に、一瞬だけ衝撃が走る。だが、それはすぐに掻き消えた。

「光世兄さん……島宮奈々未のために、腕を切り落とすつもりなの?」

天瀬姫奈は言葉にならないほど震えていた。

――そこまで、島宮奈々未のことが心配なの?

――腕を失ってでも、あの女のところへ行くの?

丹羽光世は氷みたいに冷えた声で、低く唸る。

「放せ」

放さなければ、天瀬姫奈の両手は潰れる。

それでも...

ログインして続きを読む