第30章

和谷瑞希を見た瞬間、島宮奈々未の胸が沈んだ。

「綾田課長、これはどういうことですか?」和谷英子は綾田東二を冷ややかな目で見つめながら尋ねた。

「和谷社長、ご説明します」綾田東二は慌てて言った。

「この島宮奈々未ですが、数日間無断欠勤し、会社の規則に重大な違反をしました」

「さらに、お客様に対して非常に失礼な態度をとり、会社に大きな損害をもたらしたため、解雇を決定したのです」

綾田東二は事実を曲げ、すべての責任を島宮奈々未に押し付けた。

「島宮奈々未さん、そうなのですか?」和谷英子は島宮奈々未の方を向いて尋ねた。

「違います、和谷社長。私は無断欠勤もしていませんし、お客様に失礼な...

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