第317章

島宮奈々未は、野呂栞が自分の目の前で中へ潜り込むのを見届けてしまった。声を上げて止めるわけにはいかない。署内の人間に気づかれたら――洒落にならない。

 胸の内が焦げつくほど焦りながら、奈々未は山田たちがパトカーで走り去ったのを確認すると、すぐさま駆け寄った。

「義姉さん?」

 川崎正弘が奈々未を見つけ、目を丸くする。

「驚いてる場合じゃない。野呂栞が中に入ったの」

 奈々未は署へ向かって走りながら、どうにかして栞を止めようと頭を回した。

 正弘もあとを追って建物へ入る。中にいたのは当直だけで、ひんやりするほど静かだった。

 二人は手分けして探す。

 だが三十分後――見つからな...

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