第55章

直感が島宮奈々未に告げていた。夏目太郎が何か悪さをしたと。

彼女の勘は当たっていた。

交番の木下巡査が近づいてきた。「島宮さん、来てくれたんですね」

「木下巡査、太郎がどうしてここに?また悪い人に騙されたんですか」

「いいえ、状況はこうなんです。この子が千万円相当のヘアピンを売りに行ったんです。店主が品物の出所を疑って、警察に連れてきたんです」木下巡査は説明した。「この子が、島宮さんからもらったものだと言うので、連絡させていただきました」

ヘアピン?

木下巡査がヘアピンを取り出した。

島宮奈々未は思い出した。丹羽光世からもらったあのヘアピンが、夏目太郎に盗まれていたのだ。

島...

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