第57章

社長が来てから、島宮奈々未の仕事量も増えていた。

皆も戦々恐々としていて、ミスをしないようにと必死だった。

この社長が副社長と対立していると、うっかりすれば彼らのような罪のない社員が犠牲になりかねない。

今日は誰も早く帰らず、退社時間になっても全員がまだ自分の持ち場で仕事を続けていた。

時間は刻一刻と過ぎ、もう夜の七時近くになっていた。

島宮奈々未は机に山積みになった仕事を見て、不満げに言った。「この資料、明日までかかっても翻訳し終わらないわ」

「来年までかかったとしても、急いで翻訳しないとね。社長が待ってるから」

上司の綾田清子が突然背後に現れた。

島宮奈々未は仕事量が多い...

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