第59章

島宮奈々未は目を丸くした。丹羽光世がこんなに幼稚だなんて。

夏目太郎は少し軽蔑したような顔で口をへの字に曲げた。「おじさん、もうそんな年なのに、僕に『お兄さん』って呼ばせるなんて恥ずかしくないの?」

その言葉に、島宮奈々未は思わず吹き出しそうになった。

確かに丹羽光世はもう三十代半ばだ。五歳の子供に「お兄さん」と呼ばせるなんて、若作りも甚だしい。

「そんなに老けて見える?」丹羽光世の声色は少し落ち込んでいた。

マスクをしているから表情は見えないし、島宮奈々未には丹羽光世が喜んでいるのか怒っているのか分からなかった。「丹羽社長、公式プロフィールによると、もう三十四歳ですよ。アラフォー...

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