第65章

雨上がりの山道はぬかるんで滑りやすく、スピードを落とせなければ大事故に繋がりかねない。

さらにここはカーブの連続だ。片側は切り立った岩壁、もう片側は深い崖。一歩間違えれば、車もろとも命を落とす。

対向車と正面衝突しそうになっているのに、丹羽光世は一向に減速しない。対向車の運転手もパニックに陥り、右へ左へと蛇行しているのを、島宮奈々未はただ見つめるしかなかった。

奈々未はパニックに陥りながら叫んだ。

「丹羽光世、どうしたの!?」

「ブレーキが利かない。しっかり掴まっていろ」

光世は極めて冷静だった。瞬時に判断を下すと、ハンドルを切って対向車を躱し、車体を岩壁に擦りつけることで強制的...

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