第80章

警察署を後にして、島宮奈々未はまっすぐ病院へ向かった。今は病室で島宮健太を見舞っている。

今夜起きた出来事について、彼女は一言も漏らさなかった。表情も普段通りで、健太も異変には全く気づいていない。

明日に手術を控え、やはり健太はかなり緊張しているようだった。

「姉ちゃん、もし明日、俺が手術台から生きて降りられなくても、泣かないでくれよ。姉ちゃんの泣く顔は見たくないんだ」健太はわざと軽い口調で言った「なーに、来世でまた姉弟になればいいだけの話さ」

「馬鹿なこと言わないの」奈々未は健太を軽く睨みつけた「手術は絶対に成功するわ。変なこと考えてないで、しっかり休んで明日に備えなさい」

「も...

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