第83章

島宮奈々未は一目で気づいた。車の中にいるのは、この前墓地で見かけたあの銃を持った男だ。

男の視線が彼女に向き、ふいに微笑みかけてきた。彼は車を降りて彼女の前に歩み寄り、ひどく謙虚な態度で口を開いた。

「島宮奈々未」

この人は私を知っている?

私に用があって来たの?

「どちら様ですか?」

島宮奈々未は動揺を抑え込んだ。当然、以前墓地で会ったことなど口にするつもりはない。

それに、島宮奈々未はそもそも相手の顔に見覚えがなかった。

男は軽く笑った。

「私は藤原、藤原邦達という。藤原……おじさんと呼んでくれてもいい。君のお母さんの友人だよ」

「母の友人ですか?」

島宮奈々未には...

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