第84章

天瀬姫奈が涙をこぼして泣く姿は、その美しい顔立ちも相まって、どんな男が見ても心が揺らいでしまうだろう。

 彼女は本当に傷ついていた。丹羽光世に怒鳴られたのは、これが初めてだったからだ。

 丹羽南はそんな天瀬姫奈の姿を見ていられず、たまらず丹羽光世にとりなした。

「兄さん、姫奈も反省しています。姫代のたった一人の妹ですし、姫代の顔に免じて今回は許してやってくれませんか。俺からもきつく言っておきましたから」

 ドンッ、と丹羽光世が机を叩いた。冷ややかな声と、鋭い視線が突き刺さる。

「出て行け」

 机を叩く音に、天瀬姫奈は思わずビクッと身を震わせ、顔面を蒼白にした。

 丹羽南は天瀬姫...

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