第88章

丹羽光世がこれほど長く続けてきた偽装をやめたら、きっと多くの人が腰を抜かすに違いない。

 丹羽家の内部抗争はそれほどまでに熾烈を極めているのだ。でなければ、彼がここまで徹底して自分を偽るはずもない。

 島宮奈々未は傍らに静かに座り、その話に耳を傾けていた。丹羽光世に聞くよう言われたからこそ、彼女も堂々と座って聞いていられるのだ。

 とはいえ、丹羽光世も長年演じ続けてきた手前、突然「完治」するわけにもいかない。それなりのプロセスが必要となる。

 大西茂が南山別荘に滞在することになり、島宮奈々未は丹羽光世と共に朝食を済ませた後、同じ車で会社へと向かった。

 車内で、丹羽光世が唐突に口を...

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