第108章

リビングで、田中尚哉はソファに身を投げ出して横になっていた。ウイスキーをボトル一本、丸々空けた。瓶は空。胃の奥がひりつくように熱いのに、頭はちっとも酔ってくれない。

――いや、酔いたいのに。

意識だけが、怖いほど冴えていた。

スマホがまた鳴る。秘書からだった。

何度も何度もかけても繋がらず、秘書も相当に焦っていたのだろう。ようやく通じた瞬間、息を切らす勢いでまくし立てる。

「田中社長、やっと……! 村上部長が、新規案件の件でどうしてもお話があると――」

「会わない」

田中尚哉は被せるように言い切った。

「ですが村上部長が、至急だと――」

「会わないって言っただろ!」

声が...

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