第114章

田中友里子は、心の底からぞくりと冷え、もう一言も口にできなかった。

田中辰哉が、迷いなく結論を下す。

「みんな異論はないみたいだな。中西さん――いや、恵子。安心しろ。兄として、仕事でも恋愛でも、お前が選んだ道なら俺は必ず支える。将来お前が結婚する時は、盛大に祝いも贈る」

言い回しは隙がない。兄として十分すぎるほど気遣っていて、誰にも咎めようがなかった。

中西恵子は終始、黙ったままだった。

食事が始まってからも、誰も話を続けない。食卓の後半は、箸と器が触れ合う音だけが、からん、こつんと乾いて響いていた。

大島莉理は、息が詰まるほどの居心地の悪さに押し潰されそうだった。

田中家で一...

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