第190章

車のドアが開き、ひとりの少女が降りてくる。大島莉理が目を凝らすと――梨香だった。

莉理は慌てて駆け寄った。梨香のほうから腕に絡みつき、そっと身を寄せる。

「莉理さん」

「どうして出てきたの? 病院で静養してるはずでしょ」

記者に嗅ぎつけられないよう、わざわざ匿っていたのに。

梨香は莉理の手をぎゅっと握り返す。

「お姉ちゃんが気を回してくれたからだよ。じゃなかったら、あんなふうに落ち着いて入院なんてできなかった」

「梨香!」

男が叫び、梨香に飛びかかるように突進してきた。

身体から尿のツンとした臭いが漂い、梨香は反射的に莉理を引いて後ろへ下がる。吐き気がするほどの悪臭だった。...

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