第221章

――最初から、気づいてたのか……。

大島莉理はこめかみを押さえた。頭の回る相手とやり合うと、これがいちばん厄介だ。すぐ見透かされる。

「ただ聞いただけです」

これ以上しゃべったら、田中辰哉に全部掘り起こされる。深澤璃桜の件は――爺さんが差し込んできた以上、田中辰哉が勝手に悩めばいい。

莉理は足早に階段を下りた。

ロビーの休憩エリア。深澤璃桜はソファに腰かけ、コーヒーカップを両手で包むように持ち、雑誌をめくっていた。姿勢がいちいち上品だ。

莉理の姿を見つけると、璃桜は雑誌を閉じて立ち上がり、ぱっと花が咲いたように笑う。

「大島さん」

「ついてきて」莉理はエレベーターへ向き直る。...

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