第34章

大島莉理はぐっすり眠っていた。

田中辰哉は両手をベッドに突き、彼女の顔をじっと見下ろす。

「大島莉理?」

「俺の質問に答えろ。腹、減ってるか」

大島莉理は反応したようだったが、酔いが回って目が開かない。

「……減ってない……」

「水、飲むか?」

「いらない……」

「じゃあ、寝るか?」

「……寝る……」

酔っ払いにとって、今この瞬間に静かに眠れることほど幸せなものはない。

なのに耳元で、誰かがハエみたいにぶつぶつしゃべり続ける。

眠れない。けれど眠くてたまらない。

目を開けてそのハエの正体を確かめたいのに、まぶたが接着剤で貼りついたみたいに重かった。

「……フェイリ...

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