第50章

加藤柚奈は慌てて弁明した。

「私、岩崎晴翔教授をずっと尊敬してて……来日されるって聞いたから、ご挨拶したいと思っただけです。それに会社のためでもあります。もし岩崎晴翔教授をこちらに引っ張れたら、村上真也さんもいるし……田中辰哉と真正面から勝負できます」

田中尚哉は、じっと彼女を見据えた。

「……本当にそういうつもりなら、いい。そこまで考えてるなら十分だ。ただ、今のお前の最優先は――この子を、ちゃんと産むことだ」

妊娠してから、初めて向けられた“優しさ”だった。

それまでは、妊娠した時点で用は済んだみたいに、彼は彼女を見ようともしなかった。加藤柚奈はずっと怖かった。いつか本当に捨てら...

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