第62章

「話は終わったか?」

そう声をかけてきた田中辰哉は、少し離れたところに立っていた。出口は田中尚哉と大島莉理が、ちょうど塞ぐ形になっている。

「終わったわ」

大島莉理は、田中尚哉とこれ以上口論する気などなかった。身をずらして道を開け、田中辰哉を先に通そうとする。

田中辰哉は彼女の前で足を止めた。

「来い」

大島莉理は問い返すこともなく、反射的に彼の歩調に合わせてドアのほうへ向かう。

――背後から、田中尚哉が彼女の手首を掴んだ。

「莉理、行くな」

大島莉理は眉をひそめる。

「ここに残ってご飯を食べる気はないの」

実家で食卓を囲むことは、彼女にとって毎回が苦行だった。

どう...

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