第2章
八日が過ぎた。
神森悠はまだ帰ってこないし、何の連絡もない。私たちはお互いに奇妙な膠着状態に陥っていて、どちらも先に頭を下げようとはしなかった。
私はベッドに横になり、天井を見つめていた。
これが、私たちが別れてから九日目の朝。意外なことに、いつものように別れた翌日に謝罪のメッセージを送っていない自分に気づいた。
「私が謝るのを待ってるんだ」
と、一人で呟く。
しかし意外にも、この九日間、苦痛もなければ、いてもたってもいられない気持ちにもならず、すぐにでもLINEを開いて彼がオンラインか確認したいという衝動すらなかった。
この静けさは私にとって見知らぬものであったが、不思議と心地よく、まるでこれが私の本来あるべき生活であるかのようだった。
窓の外の陽光がカーテンの隙間から差し込んでくる。私は起き上がり、簡単に身支度を整え、会社へと向かった。
「皆さん、お知らせがあります」
会議室で、鈴木霜子がスクリーンの前に立ち、真剣な表情をしていた。彼女は我が社では数少ない女性管理職で、男性が主導するゲーム業界において、卓越したデザイン能力と管理能力で尊敬を勝ち取っている。
「新規プロジェクトのキャラクターデザインと調整業務のため、沖縄の提携ゲームパブリッシャーへキャラクターデザイナーを一名、一年半常駐させる必要があります」
その言葉は、まるで稲妻のように私を打ち抜いた。沖縄——私がずっと憧れていた場所、神森悠がどうしても一緒に行ってくれなかった場所。
「興味のある方は挙手を」
私の手は、誰よりも早く、ほとんど本能的に挙がっていた。
「私、行きます」
自分の声が聞こえた。いつもよりずっと、確固たる声だった。
「今、独り身ですので、仕事に全身全霊で打ち込めます」
同僚たちが意味深な視線を交わす。彼らが何を考えているかは分かっていた——皆が私と神森悠の関係を知っており、今私が自ら東京を離れると申し出たのは、明らかに偶然ではない。
鈴木霜子の視線が私の顔に数秒間留まり、それから頷いた。
一時的にでも神森悠から離れ、この関係にもっと冷静に向き合えるようになること以上に、パブリッシャーのある沖縄が、私がずっと憧れていた場所だったことが大きい。
記憶が蘇る。三年前、私は意気揚々と沖縄旅行を計画し、航空券とホテルまで予約した。しかし神森悠は出発の二日前に突然「東京を離れるのは落ち着かない」という理由で行きたくないと言い出した。私は旅行をキャンセルし、航空券とホテルのキャンセル料は合わせて五万円近くになった。
鈴木霜子は会議の終わりに私を脇に呼んだ。
「彩里、最終的にあなたを沖縄に派遣することに決めました」
彼女は言った。
「でも一つだけ忠告しておくわ——絶対に途中で投げ出してはダメよ。この先何があっても、この一年半、あなたはプロジェクトをやり遂げなければならない」
私は厳かに頷いた。
沖縄に到着してからの最初の二週間は、想像以上に多忙だった。
新しいプロジェクト、新しい環境、そして新しい同僚に慣れることが、私の時間のすべてを占めていた。
ずっとパブリッシャーが手配してくれたホテルに泊まり、毎日朝早くから夜遅くまで働き、沖縄の有名なビーチを見に行く暇さえなかった。
三週目の週末になって、ようやく私はあの憧れの砂浜に足を踏み入れることができた。
紺碧の海が陽光の下で煌めき、暖かい潮風が頬を撫でる。私は深呼吸し、空気中の塩の香りと自由の気配を感じた。
「この青い海と暖かい太陽……本当に来てよかった」
私はそっと呟き、心の中の何かが解き放たれ、伸びていくのを感じた。
私が浜辺を散策していると、突然携帯が鳴った。着信表示は『お母さん』。
私は一瞬固まった。去年のあの気まずい会話以来、私たちは一年以上連絡を取っていなかった。あの時、母は私の携帯から神森悠の連絡先を盗み見て、彼に個人的に連絡を取ったのだ。そのせいで神森悠は丸一ヶ月、私を無視した。
数秒ためらったが、私は電話に出た。
「彩里?」
母の声が受話器から聞こえる。
「最近どうしてるの?」
「まあまあかな」
私は答えた。
「どうかしたの?」
「従姉妹があなた、あの神森って人と別れたのを見たって言ってたけど、本当?」
私は深呼吸した。やはりこのためか。
「うん、本当だよ」
電話の向こうは一瞬沈黙した。
「それならちょうどいいわ」
母の口調が急に軽やかになる。
「伯母さんがね、あなたにお見合いをセッティングしたいって。相手は条件がすごくいい人で、ええと……」
「お母さん」
私は遮った。
「私、今沖縄にいるの。仕事で異動になって、最低でも一年半はこっちにいることになったから」
「何ですって?」
母の声が甲高くなる。
「沖縄? いつ沖縄に行ったの?」
仮住まいのアパートに戻った後も、母からの電話は続いていた。
「一体全体、また沖縄なんかに何しに行ったの?」
彼女は責めるように言った。
「あなたは小さい頃からそう。本当に頑固なんだから」
私は思わず問い返した。
「伯母さんが紹介するって誰なの? お得意様? それとも上司?」
電話の向こうが一瞬途切れた。
「……従弟の上司の息子さんよ」
私は冷笑した。去年、伯母は私に「条件のいい」男性を紹介してきたことがあるが、後になってその男が裏社会の人間だと知った。更にひどいことに、伯母は私の許可なく写真と連絡先を相手に渡したせいで、私は数ヶ月間も付きまとわれたのだ。私が伯母を問い詰めると、彼女は自分の非を認めず、かえって私がありがたみが分かっていないと罵った。
「伯母さんにはっきり伝えて」
私の声は冷静で、揺るぎなかった。
「もう私を人情の道具に使わないでって。さもないと、正月実家に帰った時に私が何をしでかすか分からないから。その時になって、精神がおかしいなんて言わないでよね」
「本当に恩知らずな子ね!」
母の声には明らかな不満が滲んでいた。
「二十九にもなって結婚も考えないで。これ以上待ったら『クリスマスケーキ』になっちゃうのよ!」
クリスマスケーキ——二十五歳を過ぎても嫁に行かない女性を、クリスマスを過ぎたら価値がなくなるケーキになぞらえる、耳障りな比喩。
しかし私に言わせれば、これは女性をモノ扱いするために、たちの悪い連中が作り出した下劣な言い草に過ぎない。
私は返事をせず、ただ黙って電話を切り、窓の外に広がる沖縄の夜空を眺めていた。
どうであれ。
自由な気分は、本当にいいものだ。
