第6章

居酒屋を出た後、私と鈴木霜子は海沿いの遊歩道をゆっくりと歩いていた。夜の沖縄の潮風は爽やかで心地よく、遠くから波の音が聞こえてくる。

「鈴木さん、さっきは助けてくれてありがとうございます」

私は少し気まずそうに言った。

「霜子でいいわよ」

彼女は微笑んで手をひらひらと振った。

「あのお嬢様、本当に見ていられないわ。いかにも見下してるって感じで」

私たちはそのまま遊歩道を進んだが、私の心の中では神森悠が元カレだとどう伝えようか葛藤していた。この偶然は気まずすぎる。でも、隠しているのはもっとまずい気がする。私が切り出し方をあれこれ考えていると、鈴木霜子は不意に立ち止まった。

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