第27章

藤原司は、その場に縫い付けられたように固まった。

彼女の顔を包み込む指の腹には、まだ唇の柔らかな感触が残っている。だが、たった今口づけを落としたばかりのその瞳は、底知れぬほど静まり返り、もう微かな波紋すら浮かんでいなかった。

もう、戻れない。

その一言は、どんなに感情を剥き出しにして泣き喚かれるよりも残酷だった。冷たい鈍器のような刃が、彼のプライドと虚勢をじわじわと削ぎ落としていく。心の奥底で芽生えかけた、自分でも気づいていなかった淡い期待が、完全に断ち切られた。

重苦しい沈黙が長く続いた。沈川澪の首がこわばり始めるほどに。

やがて、藤原司はゆっくりと、少しずつ手を離した。

身を...

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