第46章

沈川澪は目を見開いた。脳内に散らばっていたインスピレーションの欠片が、その一言で瞬時に照らし出され、ひとつの完璧な絵として組み上がっていく。

「そう! 光と影の屈折よ!」彼女は興奮気味にデザイン画の束をめくり、紙の上でペン先を走らせた。「ただの色を重ねるんじゃなくて、物理的な光の反射を捉えるの! 神崎湊、あなたって本当に天才ね!」

狭い東屋の中で、二人は身を寄せ合うようにして一枚の服飾デザイン画に向き合い、熱を帯びた議論を交わした。

海風が吹き抜け、ヤシの木々がざわめく。

この瞬間だけは、藤原司も、朝倉月乃も、あの息の詰まるような結婚生活も存在しなかった。

沈川澪の胸にあるのは、久...

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