第55章

布団をめくってベッドから降り、スリッパを突っかけて寝室を出る。

リビングはひっそりと静まり返っていた。少しだけ開いた窓の隙間から、潮の香りを帯びた清々しい海風が吹き込んでくる。

ダイニングテーブルには、上品な食器のセットが並べられていた。

彼女が一番気に入っているレストランの朝食だ。湯気を立てるピータンと豚肉の中華粥、色鮮やかな点心がいくつか、それに綺麗に切り分けられたフルーツの小鉢。

沈川澪は、その場で立ち尽くした。

テーブルに近づき、お粥を見下ろす。ほのかに立ち上る湯気が、届けられてからそう時間が経っていないことを物語っていた。

背後の暗がりから、カチャリと金属製のライターを...

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