第137章 明日、市役所へ離婚の手続きに行く

深夜、九条時夜は窓辺に独り腰を下ろし、足元には空いた酒瓶がいくつも転がっていた。

 酩酊した視界は霞み、周囲の景色はおぼろげだったが、ここが自分と秋月雫の婚居であることだけは記憶の片隅に残っていた。

 彼は財布を握りしめている。その最奥には、二人の結婚写真が忍ばせてあった。

 写真の中の男は陰鬱な表情を浮かべているが、隣の女は花のような満面の笑みを湛えている。

 彼は指先でそっと秋月雫の顔を摩り、枯れた声で呟いた。

「白川ゆらを家に置いてきたのに、どうして怒らない? どうして俺に詰め寄らないんだ?」

「秋月雫、俺を責めてくれよ、頼むから……」

「お前が望むなら、俺は何でも言うこ...

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